ネットワーク構成図を作成するとき、こんな運用になっていないでしょうか。
Excelで機器一覧を管理しながら、ネットワーク構成図はdraw.ioやPowerPointで別に作成する。
機器が追加されたらExcelを修正し、そのあとネットワーク構成図も修正する。
IPアドレスや接続先が変わったら、また両方を修正する。
小規模なネットワークであれば、それでも大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、機器数が増えてくると、
「Excelは最新なのに、ネットワーク構成図は古い」
という状態が起こりやすくなります。
そこで考えたいのが、
図そのものを管理するのではなく、Excelのデータを正としてネットワーク構成図を生成する
という方法です。
この記事では、Excel・CSV・draw.ioを使って、ネットワーク構成図を管理しやすくする考え方を紹介します。
ネットワーク構成図を毎回手で直すと何が問題なのか
ネットワーク構成図の作成そのものは、それほど難しくありません。
ルーター、スイッチ、PC、サーバーなどを配置し、接続線で結べば図としては完成します。
問題は、その後です。
ネットワークは一度作ったら終わりではありません。
機器の追加や交換、IPアドレスの変更、接続先の変更などが発生します。
そのたびに、
管理表を修正する
→ ネットワーク構成図を開く
→ 対象機器を探す
→ 図を修正する
という作業が必要になります。
さらに怖いのは、修正そのものを忘れてしまうことです。
ネットワーク構成図は存在していても、実際の環境と内容が一致していなければ、障害対応や調査時にかえって混乱する原因になります。
そのため、ネットワーク構成図では「きれいに描くこと」以上に、
最新状態を維持できること
が重要になります。
「図を直す」のではなく「Excelを直す」
そこで考え方を少し変えます。
ネットワーク構成図を直接修正するのではなく、
Excelを修正すると、ネットワーク構成図にも反映できる
ようにします。
つまり、
Excelをネットワーク情報の元データとして扱う
という考え方です。
システム開発では、このような「正しい情報の基準となるデータ」を Source of Truth と呼ぶことがあります。
ネットワーク構成図の場合も同じで、
正式な情報はExcelで管理し、図はExcelの情報から作る
というルールにすると、二重管理を減らしやすくなります。
Excelには何を管理すればよいのか
最初から大量の項目を管理する必要はありません。
まずはネットワーク構成図を作るために必要な情報だけを整理します。
たとえば、次のような項目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| name | 機器名 |
| type | 機器種別 |
| ip | IPアドレス |
| connect_to | 接続先 |
| segment | セグメント |
必要に応じて、設置場所、管理担当、備考などを追加してもよいでしょう。
重要なのは、
1行=1機器
にすることです。
たとえば、簡単なネットワークなら次のように管理できます。
| name | type | connect_to |
|---|---|---|
| RT01 | router | |
| SW01 | switch | RT01 |
| PC01 | pc | SW01 |
| PC02 | pc | SW01 |
| SV01 | server | SW01 |
※すべて説明用の架空データです。
このような形式になっていれば、どの機器がどの機器に接続しているのかをデータとして扱えます。
ExcelからCSVを作成する
Excelでネットワーク情報を整理したら、次にCSV形式で保存します。
流れはシンプルです。
Excel
→ CSV
→ draw.io
→ ネットワーク構成図
draw.ioにはCSVデータをもとに図を生成する機能があります。
つまり、Excelで管理しているネットワーク情報をCSVに変換し、そのCSVをdraw.ioに読み込ませることで、機器同士の接続関係を図として表現できます。
ここで重要なのは、
CSVを作ること自体が目的ではない
という点です。
目的は、
Excelで管理しているデータをネットワーク構成図に反映しやすくすること
です。
draw.ioでネットワーク構成図を生成する
CSVを用意したら、draw.io側でCSVインポートを行います。
CSVの列を利用して、
どの列を機器名として表示するのか、どの列を機器種別として扱うのか、どの列を使って接続関係を作るのかを設定します。
たとえば、
name
をノード名として使い、
connect_to
を接続先として利用すれば、
RT01からSW01へ接続し、SW01からPC01、PC02、SV01へ接続するような構成を作れます。
最初から完璧なレイアウトになるとは限りません。
しかし、機器を一つずつ配置し、接続線を一本ずつ描くところから始める必要はなくなります。
まず機械的に構成図の骨格を作り、そのあと人間が見やすい位置に整える。
この使い方が現実的です。
自動作成のメリットは「速く描ける」だけではない
ネットワーク構成図を自動作成するというと、
「作図時間を短縮できる」
ことに注目しがちです。
もちろん、それもメリットです。
しかし、実務ではもっと重要な効果があります。
それは、
修正する場所を減らせること
です。
従来は、
Excelを修正して、draw.ioも修正する。
という二重管理でした。
Excelを元データにすれば、
Excelを修正して、必要なときにネットワーク構成図を再生成する。
という流れに変えられます。
つまり、
「どちらが最新なのか分からない」状態を減らせる
ことが大きなメリットです。
ChatGPTとMermaidを使う方法もある
ネットワーク構成図を作る方法は、Excelとdraw.ioだけではありません。
まだネットワーク構成が固まっていない場合や、まず概念図を作りたい場合には、
ChatGPT
→ Mermaid
→ draw.io
という方法も使えます。
たとえば、
「ルーター1台、スイッチ2台、PC4台、サーバー1台の小規模LAN構成図をMermaidで作成してください」
とAIに依頼すると、構成図の骨格を作りやすくなります。
そのMermaidをdraw.ioに取り込み、最後にレイアウトを調整する方法です。
こちらは、
すでに確定した機器情報を管理する
というより、
構成を考える段階
で使いやすい方法です。
Excel方式とAI方式は使い分ける
ExcelとAIは、どちらか一方だけを使う必要はありません。
目的によって使い分けると便利です。
| 状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 実際の機器情報を管理したい | Excel+CSV+draw.io |
| 定期的に構成図を更新したい | Excel+CSV+draw.io |
| 新しいネットワーク構成を考えたい | ChatGPT+Mermaid |
| まず図のたたき台を作りたい | ChatGPT+Mermaid |
| 最終的に見やすく仕上げたい | draw.io |
実務では、
AIで骨格を考える
→ Excelで情報を管理する
→ draw.ioで仕上げる
という組み合わせも使えます。
最初は小さなネットワークから試す
いきなり数十台、数百台のネットワークで自動化しようとすると、設定が複雑になります。
最初は、
ルーター1台、スイッチ1〜2台、PC数台、サーバー1台程度の構成
から試すのがおすすめです。
小さな構成で、
Excelのデータ
→ CSV
→ draw.io
という流れを確認します。
うまくいったら、少しずつ対象機器や管理項目を増やしていきます。
この方法なら、自動化そのものが目的になってしまうことも防げます。
ネットワーク構成図は「作ること」より「維持すること」が重要
ネットワーク構成図を一度きれいに作ることは、それほど難しくありません。
本当に難しいのは、
半年後、1年後も正しい状態を維持すること
です。
そのためには、
図を直接管理する
という考え方から、
ネットワーク情報を管理し、そこから図を作る
という考え方に変えることが有効です。
Excelを元データにしておけば、更新箇所を一つにまとめやすくなります。
ネットワーク構成図を毎回手作業で修正している場合は、
「図を直すな。Excelを直せ。」
という運用を一度試してみてはいかがでしょうか。
Kindleで詳しい手順をまとめています
この記事では、Excelを元データとしてネットワーク構成図を管理する考え方を中心に紹介しました。
具体的なExcel管理表の作り方、CSVからdraw.ioへ取り込む設定、ChatGPTやMermaidを使った作図方法、ネットワーク構成図を継続的に更新する方法については、Kindle本
『AI×draw.ioで作るネットワーク図
ChatGPT・Mermaid・Excel/CSVで始める自動作図実践ガイド』
で詳しく解説しています。
「考え方だけではなく、実際に自分で試してみたい」という方は、あわせて参考にしてください。
まとめ
ネットワーク構成図の管理で重要なのは、毎回きれいに描き直すことではありません。
最新のネットワーク情報を維持し、その情報から必要な図を作れる状態にすることです。
ExcelをSource of Truthとして管理し、CSVとdraw.ioを組み合わせれば、ネットワーク構成図の二重管理を減らすことができます。
そして、構想段階ではChatGPTやMermaidを活用する。
このように役割を分けることで、ネットワーク構成図を「作る作業」から、**「維持できる仕組み」**へ変えていけます。

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