AIで作ったExcel、なぜその方法を選んだ?設計判断メモの残し方【設計する力③】

AIにExcelの関数やマクロを作ってもらい、無事に動いた。でも数か月後に「なぜこの関数にしたの?」「重くなったらどうする?」と聞かれたら、説明できるでしょうか。

今回のテーマは設計判断メモ。難しい設計書ではなく、選んだ理由・選ばなかった理由・見直す条件を短く残す方法です。Excelの自動化を例に、はんちゃんとチャーが考えます。

目次

AIで作った処理。「なぜこの方法?」に答えられる?

はんちゃん(SE)

チャー、AIにExcel関数を作ってもらえばすぐ動くけど、半年後に『どうしてこの方法にしたの?』って聞かれたら困るかもしれないね。

チャー

そうだニャ。動いたという事実と、その方式を選んだ理由は別。小さなメモでも残しておくと役立つニャ🐈

Excelで「商品名からカテゴリーを判定する」場合、関数・VBA・Power Queryなど複数の実現方法があります。正解が一つとは限らず、現状の規模、更新頻度、性能、保守する人を踏まえて選びます。

実例:商品2,000件ならExcel関数を選ぶ?

例えば商品一覧が約2,000件、キーワードマスターが約100件あるとします。商品名に「魔王」が含まれれば「焼酎」、「八海山」が含まれれば「清酒」と判定する架空の例です。

商品名からカテゴリーを判断する手作業と関数・マクロによる自動化を比較し、データ増加時に性能・拡張性・保守性を考える必要性を示す図
候補よい点今回はどう考える?
Excel関数セルで結果を確認しやすく、導入が簡単まず候補にする。ただし処理時間を実測
VBA一括処理一括読み込み・出力でシートへのアクセスを抑えられる現状では運用・マクロ管理の負担も比較
Power Query定型データ加工を更新で繰り返しやすい部分一致の実装負荷と性能を検証
はんちゃん(SE)

今回は関数が有力そう。でも『2,000件だから必ず速い』とは言い切れないんだよね。

チャー

その通り! マスター件数や数式次第で変わるから、採用は実測してからが大事だニャ。

設計判断メモとは? ADRとの違いは?

設計判断メモは、どの方式を選んだかだけでなく、その背景と代替案を残す記録です。ソフトウェア設計では、こうした意思決定を残す文書をADR(Architecture Decision Record:アーキテクチャ決定記録)と呼ぶことがあります。

ただし、Excelの小さな改善に正式なADRの書式をすべて使う必要はありません。まずは後で見た人が判断理由を理解できることを目指しましょう。

6ステップでわかる! 設計判断を残す手順

STEP
何を実現するか書く

商品名からカテゴリーを自動判定する。対象は商品一覧とキーワードマスター。

STEP
前提条件を記録する

現状の商品件数、キーワード数、更新頻度、利用者・保守担当を記録。

STEP
候補と比較観点を並べる

Excel関数、VBA一括処理、Power Queryの導入負荷・性能・保守性を比較。

STEP
採用案と理由を書く

現時点では関数を第一候補にする。検証を通過した場合に採用を確定。

STEP
不採用案と見直し条件を書く

一括処理やPower Queryは保留。許容時間超過・データ増加などで再評価。

STEP
検証結果と更新日を残す

実測時間、試したデータ件数、確認日、判断者を記録し変更時に見直す。

保存版:設計判断メモの書き方と記入例

コピペして使える!設計判断メモ(テンプレート)

  • 対象処理:[何を自動化する?]
  • 現状・前提:[件数/更新頻度/利用環境]
  • 求める条件:[結果の正しさ/許容処理時間/運用方法]
  • 検討した方式:[案A/案B/案C]
  • 採用方式・理由:[どれを、なぜ選ぶ?]
  • 採用しなかった案・理由:[今回はなぜ見送る?]
  • 検証結果:[測定条件・結果・確認日]
  • 見直し条件・次の手:[いつ/何を再評価する?]

商品カテゴリー判定に当てはめると?

項目記入例
対象処理商品名に含まれるキーワードからカテゴリーを判定
現状商品約2,000件、マスター約100件(仮定)
第一候補Excel関数
選定理由導入と変更が容易で、運用者が結果を確認しやすい
見送る案VBA一括処理・Power Query(導入/保守負担も考慮)
性能条件例:更新後5秒以内(説明用の仮設定)
検証結果未計測。測定後に採用を確定
見直し条件処理時間の許容値超過、件数増加、運用変更

重要:この表の「5秒」は実測値でも製品性能の保証でもありません。目標値を決めた後、同じPC・同じ規模のデータで実際に計測し、結果を記録してください。

はんちゃん(SE)

不採用にした案も、あとで役に立つんだね。単に『今は使わない』で終わらせないのがポイントか。

チャー

そうだニャ! 状況が変わったら、残しておいた代替案を再評価できる。最初から複雑に作りすぎる必要もないニャ。

AIに設計判断メモを作ってもらう質問例

AIは選択肢や論点を整理する補助役として使えます。次のように依頼すれば、比較すべき点を見落としにくくなります。

商品名からカテゴリーを判定するExcel処理について、関数・VBA一括処理・Power Queryを比較し、設計判断メモを作ってください。
商品は現在2,000件、マスターは100件という仮定です。
機能要件と非機能要件を分け、採用理由・不採用理由・検証項目・見直し条件を整理してください。
処理速度の実測値はないため、数値を推測で断定しないでください。

AIが出した結論は確定した設計ではなく検討案。業務に使う前に、実際の要件・環境・測定結果で見直しましょう。公開用のメモでは、顧客名や業務システムの内部情報などは伏せてください。

まとめ:大切なのは「どれを作ったか」だけじゃない

AIのおかげで、Excelの自動化を始めるハードルは下がりました。だからこそ「なぜ選んだか」「どんな条件なら見直すか」という判断を残すことが重要になります。

はんちゃん(SE)

AIで作れるようになった次は、選んだ理由を説明できるようになりたいね。

チャー

そうだニャ🐈 迷ったときは選択肢を比べて、試して、記録する。この3つを覚えておけば、次の改善にもつながるニャ!

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※商品・件数・性能目標は説明用の架空の例です。実際の処理速度はPC環境・データ規模・実装方式に依存します。

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